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01 全曲解説

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01. 斉太郎節
(宮城県民謡 編曲:上領 亘 補作詞:若狭さち)
東北出身の若狭も馴染みのある民謡なだけに、アレンジの変貌ぶりに驚いたという一曲。
上領曰く「松本零士的な世界観で、装甲車のような船にヘルメットを被った乗組員が突っ走っていくような」現代の大漁節をイメージして制作したそうだ。
若狭も「松島は修学旅行の思い出もある土地で大好きな曲。オリジナル部分の歌詞は被災地の方々を応援するメッセージも込めて書いたので、思い入れが深い」と言う。

02.こきりこ節
(富山県民謡 編曲:上領 亘)
日本最古の民謡と言われるこの曲を、マニュピュレーターAYATOの発想によるジャジーなアプローチで、現代風な4分打ちビートやユーロ・ビート、ハウスのエッセンスも交えて昇華した。
「流れるようなビート感にメロディが重なって、若狭のボーカルにすごく合うと思う」(上領)
「歌詞の意味を改めて調べたら面白い発見があった曲。扇子を使ったライブ・パフォーマンスにもぜひご注目ください」(若狭)

03.茶碗蒸しの歌
(鹿児島県民謡 編曲:上領 亘)
GRASS VALLEYやPet Shop Boys等を彷彿させるポップさを持つ曲。民謡というより俗謡という位置付けの曲だが、鹿児島や宮崎の一部の地域では小学校でも歌われている程、地元ではメジャーな楽曲。
「ライブでは、激しいドラムにあえて乗らずにゆったりと動く中で、ほんのり色っぽさみたいなものが表現できたらと思って歌っています」(若狭)

04.虚空
(作曲・編曲:上領亘)
“原付で平塚~青森往復経験と民謡歌手の祖母を持つ、バンドマンあがりの津軽三味線奏者”寂空-Jack-と上領によるインスト。
「元々、寂空の為に作ったと言っても過言ではない組曲的なもの。最終的には『三味線奏者が修行をしながら高みに昇っていく』イメージから自由に作りました」(上領)
タイトルは曲を聴いた若狭が「虚空蔵菩薩」の世界観から命名。

05.秋田大黒舞
(秋田県民謡 編曲:上領亘)
「民謡をやっていると言うと宴会の席などで「一曲歌え」と言われることが多くて。商売繁盛で縁起の良い歌詞がお店の方にも喜ばれるので手拍子をいただきながら色んな場所で歌っていた曲です。」(若狭)
間奏ではサンバも登場するが「元々ラテンやフュージョンもやってきたので、そういう要素も入れたり。結局ピアノもドラムも太鼓も僕だから、一人セッション(笑)。でもこの歌詞を聴くと涙が出るんですよね、なんか凄くいいなぁと思って」(上領)

06.おてもやん
(熊本県民謡 編曲:上領亘)
「僕が影響を受けた80年代のニューウェーブ感とか、あの時代のドラムの構築の仕方って、やっぱり美しいと思う。鳴っている音よりも休符を大事にするビートなんですよね」(上領)
「歌詞を見ていたら、おてもやんはえらいべっぴんさんなんじゃないかって思えてきて。“モテ過ぎて困っちゃう。でも私、実は一途な女なの”ってなりきって歌っています(笑)」(若狭)

07.新島大漁節
(東京都民謡 編曲:上領亘 補作詞:若狭 さち)
上領が数ある民謡の中からフォービートの合う曲を敢えてチョイスしたというこの曲は、オリジナル部分の歌詞がかなり魅惑的だ。
「数え唄で本来は10番まであるのですが、あえて最後のブロックは“いくつとせ”として、白浜やコーガ石、星空など新島の良さをPRしたいなと思って書きました」(若狭)
「島のアンコと遊ばんせって、なんか意味深ですよね(笑)」(上領)

08.八木節
(群馬県民謡 編曲:上領亘)
「数ある八木節の中から歌詞が気に入ってこの国定忠治の節を選びました。本来は延々と物語が続く曲だけど、四番で「名残惜しいが」と言って終わってしまう斬新さ(笑)曲間では喧嘩や揉め事が繰り広げられてるっていうのを表現したかったから、シンセをこれでもかと入れてテクノ風に仕上げました」(上領)
「レコーディングではいつも歌う人物イメージをオーダーいただくのですが、この曲は“小粋なお姉さんで”でした」(若狭)

09.津軽じょんがら節
(青森県民謡 編曲:上領亘)
「津軽民謡を歌いこなすのに一番必要なのは訛り。本来はその訛りが格好いいんだけど、うまく訛れない。だからあくまで若狭さち方式で、津軽民謡を“抜いた”形で歌う。裏声っぽいものを使ってみたりするうちに、少し色気のあるじょんがら節に仕上がったんじゃないかな」(上領)
「これまで津軽民謡を習ったことがなかったのでどう消化しようか悩みに悩んだ挙句、自分らしく歌おう!と割り切ったら凄くパワーが出せた曲。歌い込むほどに味わいが変わっていくと思います」(若狭)

10.金毘羅船々
(香川県民謡 編曲:上領亘 補作詞:若狭 さち)
『01』を締めくくる、疾走型ポップ・チューン。「『天地人神心』のコンセプトが自然に溶け込んでいる世界観を持つ歌詞。権現様がいなければ自分たちもいない、みたいな。神様が普通のもの、自然にそばにあるものっていう感じがすごく素敵だなと」(上領)
「アレンジがキラキラしていて明るい未来や光る海が浮かんだので、希望をテーマにオリジナル部分の詞を書きました。先人達が残してくれた歌や軌跡への感謝も込めて歌っています」(若狭)